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2021/10/27 00:00

2年前にTULALA代表のオガケンこと小川健太郎氏より、『キョロキョロのロッドを作ってみませんか?』とお誘い頂いたことから始まったRidgelineとのロッドコラボレーション企画。この度テストを終え、10/29に受注開始が決定致しました!

もう数日後にはツララさんのエクストリームサブリナで受注が開始されます。

そこで、発売前になってしまいましたが、一体どんなロッドなのかを深掘りしたいと思います。

「Glissando810」~ストローセッティング~
○全長:8フィート10インチ
○継数:2本(バットジョイント)
○仕舞寸法:182.5㎝
○リアグリップ:39㎝
○自重:約240g
○ルアーウェイト:12〜80g
○PEライン:1.5~3号(MAX)
○定価:54800円(税抜)

マッチングリール 4000  4000SW  C5000 

【ロッドコンセプト】

グリッサンド810とは一体どういうロッドなのかというと、10cmクラスの軽量ルアーを飛ばせるティップを持ちながら、3ozまでのビッグベイトまでキャストできるGlissandoシリーズ随一のヘビーデューティーモデルです。

ということは…そうです!

『ルアーをぶっ飛ばせます!』

※フルキャストが一番気持ち良いのは40〜60gです♪

開発のコンセプトは『全ての操作性を高次元に実現する事』だったので、ひたすらフィールドテストで検証をしてきました。結論からいうとバッチリ手応え有りです!

その『操作性の極み』とは具体的にどういうことなのかを下記にまとめてみました。


①キャスト精度 (ロッドの操作性)

ファーストテーパーアクションを採用した理由は、レギュラーテーパーと比べると、ロッドの『たわみ』や『ブレ』が少ないため、よりピンスポットへのキャストコントロール性が増すためです。

ただそれだけではなく、『ストローガイドセッティング』による恩恵がキャストフィールに大きく関係しています。

このストローガイドセッティングの小口径ガイドは、普通の一般的なロッドのガイド数より倍近くのガイドが搭載されています。自分が使った使用感をそのまま伝えさせてもらうと、比較的初速の付く重量系ルアーに関しては推力(thrust)が大きく、リールからティップまでのラインは一直線になりやすいため、風が強い日以外は通常のガイドシステムでも飛距離は然程影響しない気がします。しかし軽量級のルアーは中々そうはいきません。推力が弱いために空気抵抗や風の影響をモロに食らってしまうのです。そうなるとガイドからガイドまでの間隔が遠ければ遠いほどラインがたわみやすく、バタツキを招くため失速することになります。ストローガイドシステムはガイド間隔やガイド径が狭いため、リールからティップまでのラインがテンションがほぼ掛かってなくても一直線になりやすく、軽量級のルアーでもキャスト時にラインを一気に収束し放出することで飛距離とコントロール性アップに貢献しているという感じでした。

ツララさんから様々なロッドアクションのストローガイドが搭載されたロッドがありますが、投げられるウエイト幅が広い『Glissando 810』だからこそ、その違いが明確にわかったのかなぁと感じます。

是非軽量なルアーで試してみてください。きっとその違いにビックリされると思います。

※注意点として、サイズの小さい軽量級ルアーに搭載されているフックはこのロッドパワーとの相性が悪いため、耐えられない恐れがあります。基本は#4 MH以上のフックを抱けるルアー、もしくはチューニングを推奨します。

小口径ガイドのデメリットは太いリーダーをガイド内に巻き込めないことです。ティップガイドの外であれば何ポンドもいけますが、実用可能範囲として

ナイロンリーダーは60lbまで

フロロリーダーは40lbまで

と考えて下さい。

重量系のルアーでもグリップエンドにDRT社のBunpyGrip(PAT)を搭載しているので、キャスト時に引き手側に力を込めやすく、スムーズなキャストフィールを実現しています。


②ルアーアクションを引き出す(ルアーの操作性)

ファーストテーパーアクションはルアーの操作性を格段に引き上げます。キレの良いダートなどは、レギュラーテーパーやリーリングアクションでは引き出せません。トゥイッチやジャーキングなど多彩なロッドアクションに対応します。

昨今はリアクション系のルアーも多くなってますので、より繊細なアクションや攻め重視のアングラーにこそ試して欲しい卓越した操作性を持たせました。


③主導権を握ったファイト(魚の操縦性)

自分のファイトスタイル。それは魚とのやりとりの主導権を100%アングラーが握る事です。

フックの刺さり方が甘かった以外の理由で魚バラシたくないのです。笑

パワーの強いロッドは基本的にいなせてゆっくり体力を削りながらキャッチするロッドではないので、キャッチ率が悪い場合は基本的なバラシのメカニズムを理解し、ファイトの仕方を変えなくてはいけません。

パワーロッドによるバラシの原因は、掛かり所の他にもタックルバランスを含め、メンタルの事まで考えると人それぞれ様々な要因があるために、一概に語れない部分が多いのが本音ですが、やりとり中に魚に反転されて針傷を広げたりするヒューマンエラーやロッドのオーバースペックなどが原因で身切れを招いたりすることが比較的多いのかな?と感じています。ただ、色んな躊躇が結局バラシに繋がるので、自分はより早くスムーズにランディングする事を意識してファイトしています。しかしイメージが湧かないままだとそう簡単にはいきません。

このロッドのベリーからバットセクションにかけてのパワーはかなりのもので、自分自身を軸に、魚が上下左右に走ろうとするのを強制的に頭をこちら側に向かせる詰め将棋のようなファイトをする事が出来ます。こう話すと曲がらないロッドのイメージを持たれる方が多いと思いますが、これだけの能力をパッケージングしているにも関わらず、『ちゃんと曲がります!』ロッドは柔らか過ぎても硬過ぎても駄目なのですが、ベリーからバットまでの絶妙なパワーバランス+中弾性ブランクス特有の粘りが魚に対し絶妙な負荷を掛け続けてくれるため、安心して力勝負ができます。

魚を水揚げする足場の確認までの魚を操縦するランディングストーリーがしっかりと出来ていれば、アングラー側が躊躇してのされない限り、捕れる確率はグンと上がると思います。

ランディングポイントが制約された場所では厳しいですが、ランディングの際に魚とある程度のディスタンスを測る事でフックポイントの負荷を防いでみてください。


④スピニングの利点(ラインの操作性)

最後に、重量級のルアーをスピニングで扱う理由についてなんですが、結論からいうと『流れの変化を感じるため』です。中弾性のパワーロッドだとロッドウエイトが乗る分、感度をスポイルするのではないか?と思いがちなのですが、そこはロッドバランスによって補っているため、あまりにも抵抗が少ないルアー以外はちゃんと感じ取れます。

スピニングロッドとベイトロッドはそもそもリールの重心位置が違うために使用感が全く違います。リールを直接手に持つベイトリールの利点は手元に重心がある事で、キャストコントロールやアクションの操作性がスピニングより格段に良い事です。しかし、手元に重心があるために、縦横の振動を感じ難くなります。

スピニングリールの重心位置は手元より下にありますので、キャスト精度がベイトより劣るのは仕方ありません。ただ、基本ぶら下がってる状態になるため、スピニングロッドはベイトロッドと違い、縦方向の振動を感じやすい構造になっています。

ロッドを強く握りしめていたらわかりませんが、ルアーをドリフトさせている際に軽く下から添えておく程度の握力で扱うと、水中にある僅かなライン抵抗を感じ取る事ができます。

これが何を意味するかと言うと、魚の付き場である流れの変化が起こる場所を特定しやすいのと、ルアーの挙動を意図的に調整する事で、魚に違和感を与えない釣り方が可能になってきます。

今、ルアーが暴れ過ぎてはいないか。ならばもう少しテンションを抜こう。などといった瞬時の判断ができるのがスピニングロッドです。流れが速い場所ではベイトロッドでも感度を取れるので、クラッチを切ってサミングで調整する釣りも可能ですが、流れが緩かったり複雑に絡み合うエリアでは水中の情報が取れないとバイトを取るのも難しくなります。この違いは殊の外大きくて、ホームである愛媛のしまなみ海道の激流エリアは当然のこと、通常河川でさえ明確に差が出る程です。

大型のルアードリフトはずっとベイトタックルで補ってきたましたが、それを扱えるスピニングロッドの登場により、更に魚に出会う確率やキャッチ率が飛躍的に向上した気がします。ベイトフィッシュが大きいフィールドでビッグベイトを繊細に操れる納得のいくスピニングロッドが完成しました。

文頭でも綴りましたが、全ての操作性を高次元に1本のロッドにパッケージングできたかなぁ…と手応えは感じています!後は皆さんのフィールドで試していただけると嬉しいです。

今後、皆さんのフィッシングライフに、旅の仲間に、夢の魚と出会える相棒になれば幸いです。

その時はその喜びを共有させてください‼︎

(絶対に教えてーーー‼︎ 笑)

長文を最後まで読んで頂きありがとうございました!

ツララスタッフの皆様。製作にご協力頂きありがとうございました。この場で感謝申し上げます。


Ridgeline 代表 永井 晋